野流とは

野流は、人と人が、出会い、音を紡ぎ、会話するための流動的な共同体です。
2022年に結成し、現在は、キーボード/ハープのHyozo(hYouU€a)、インディアンフルート/ハープの織川一、ベースの水野翔太、琴/ギターの佐々木皓介、ピアノ/パーカッション/写真/エンジニアリングの聶を中心としたセッションコミュニティとして、主に都内や千葉県などで活動しています。
楽器未経験者を交えた即興演奏ワークショップ、セッションイベント、ギャラリーでのライブ等の活動を行なうほか、アンビエントを軸にした音楽を制作しています。

野流は2022年に千葉県の五井という場所で結成されました。そのきっかけには、それまでロックバンドで演奏していたメンバーたちが、コロナ禍を経て感じたある「違和感」があります。ご存知の通り、日本の過密な街と木造の住環境では、楽器の練習は音量を抑える必要があります。欧米のように石造りの町並みでもなく、アフリカのように道端で楽器を弾いて踊る人もいない。大きな音で演奏するロックバンドは、自ずと人々の生活から切り離された領域でしか演奏できず、結果として音楽文化を日本に根付かせるに至っていないと感じました。
また、楽器が弾けるにもかかわらず、その楽器を使って思い思いの表現をしている人が少ないことにも、私たちは気づきました。理由を訊いてみると、「クラシック奏者のように演奏できない」と言う理由や、憧れの海外アーティストのようになれないから、という理由が目立ちました。
しかしながら、日本人は昔から虫の声に耳を傾け、蛙が池に飛び込むわずかな音を詩にしてきました。白人や黒人のように楽器をプレイできなくとも、日本人は元来欧米の音楽家より小さな音量や音質そのものに対する感度が高いはずです。

そして、実際にロックバンドをいくつかやってみて感じた人間関係の違和感もあります。ロックバンドはその性質上均一性の高い男社会になりがちで、時として昨今言われる「有害な男らしさ」を競い会うようなものになりかねません。私たちはより多様な性質を持った人間が個性を活かしたまま関われるような構造の組織が必要だと感じました。
そして、あらゆる動植物が環境に抗うことなくニッチを見つけてたくましく生きているのを見ると、この国にはロックバンド以外のやり方があるように思えてきたのです。

野流は様々な人々がアイデアの実現と演奏を行うためにお手伝いをします。クリエイティビティや楽器のうまさで誰かが突出することよりも、その時参加しているメンバーや、演奏する環境のなかでベストな表現を行うことを重視します。リズム感や音感が希薄でも、音そのものを味わい、楽しむような合奏を提案します。参加者のモチベーションもさまざまで、企画ごとに参加するメンバーは流動的です。このような理念に賛同していただける方なら、誰でも野流を名乗って構いません。

2022年度は、約50名の参加者を加えることができました。これからよりたくさんの人々とこの活動を通して出会っていきたいです。ぜひ今後の私たちの活動をチェックして、参加してみてください。